今日、とある番組でやってた某問題を見て思い立ったネタ。
登場人物は菊とサディクです。
時事ネタですので、いろいろと注意してください。
念のために人命表記。
菊の自宅で、菊とサディクはお互いに向かい合って座っていた。
菊を前にしたサディクは珍しく無表情――彼は仮面をつけていても表情がわかるのだ――で、怒りの感情すら垣間見させた。
対する菊は眉を寄せてただただ黙って俯くばかり。
静かに、ただ時間だけが流れる。
「菊」
声をかけると僅かに肩がぴくりと動いた。そしてただ一言、「申し訳ありません」と謝罪し、また黙り込んでしまう。
哀れなくらいに怯えきっている彼に謝られてしまえば、サディクは最早何も言えなくなる。
もとより憎んでいるわけではないのだ。
ただ許せなかっただけ。自分の、親と呼んでも過言ではない程の偉大な人物を模したものを、あんな風にぞんざいに扱われたことが。
それがまた、彼にやられたことが許しがたいのだ。ヘラクレスあたりにやられても、確かに腹は立つがここまでやるせない気持ちにはならないだろう。
ただ、彼がまた、少なからず人が住む“国”であることは間違いないのだ。そして人とは打算的な生き物だ。どこかの眉毛の見えないお友達とは違う。
人が打算的ならば、その人を有している国もまた、打算的なのだろう。国の性格はその国民の性質に左右される。火に焦がれる夜の虫の如く彼に心酔していた筈の自分はすでにそれほど彼に魅力を感じなくなってしまったのもそれゆえなのだから。
だが――
「必ず……必ず何とかして見せます。
このままにはしておきません。」
世界的な平均よりも強い“情”を持っているのもまた真実だ。
礼儀礼節を重んじ、人との絆を大切にするのがこの国の特徴でもあるはずで、自分たちは彼のそういった面に助けられ、そして惹かれたのだ。
なるほど、確かにあのような我々を侮辱するような行いをしたのは打算的な彼の国の人々だろう。だが、その行いを糾弾し、立て直しを図ろうと努力してくれているのも彼の国の人々なのではなかろうか。
もはや昔語りとなった自分たちの始まりを、その縁を切り捨てたくないと、また親しくしたいのだと言ってくれる。それをたまらなく嬉しく感じる。
サディクはにやりと笑みを浮かべた。
「期待してやすぜ」
変わってしまったものもあるけど
変わらなかったものも確かにあるから
強い瞳で見つめ返してくる。
最早あの時のように心酔する気持ちはないけれど、彼となら、また一から友人としてやり直すことができるかもしれないと思った。
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ネタの元になったソースはこちらhttp://www19.atwiki.jp/torco/
いくらなんでもこれはひどい。
そりゃ怒るわ。