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前回肝心なところが書けなかったので、その続きです。



「はい、これ」
 そう言って差し出したのはリョウの召使の服だった。
「仕方ないから貸してあげるよ。」
 何が何だか分かっていないバクラはリョウの顔を見上げた。しかしリョウは常と変わらず凪いだ笑顔を浮かべているだけだった。
「お前、逃げたんじゃないのか?」
「え?何で?」
「だって――」
「ボクがいつ逃げる、何て言ったの?
 大体、君みたいな不出来な片割れ置いてどっか行くなんて恐くて出来るわけないじゃないか。ウィジャ盤で呪い殺されそうだよ。
 あ、でも……」
 リョウはそこで言葉を切って、にっこりとバクラに笑いかけた。
「召使のリョウは逃げるかな。」
「は?どういう意味だ?テメェ、何企んでやがる……?」
「企むなんて酷いなぁ。」
「答えろ!!」
 声を荒げ、胸倉を掴んで凄んで見せてもリョウは顔色一つ変えない。それどころか肩を竦めておどけてさえいる。
「企む…ねぇ。まあ、強いて言うならクーデター……かな?」
「な!?」
「今から君が召使、それでボクが王様になる。
 ね?クーデターでしょ?」
 分かったらさっさと着替えると、いまだ胸倉を掴んでいる手を外させ、半ば無理やりリョウはバクラに先ほど差し出した自分の服を持たせるが、未だにバクラはこの状況を理解していないようだった。
 リョウの服を抱えたままポカンとしているバクラに、リョウは深い溜息を吐いた。
「いいかい?
 さっきも言ったように君は今から召使になるんだ。そしてボクが王様。
 召使の君は迫り来る反乱軍への恐怖に耐え切れずにとうとう王様を見捨てて逃げ出すんだ。」
 そこで初めてバクラはリョウの意図を理解した。
「お前!!自分が何言ってるか分かってんのか!?」
「勿論だよ。
 大丈夫。ボクらは双子だから分かりっこないよ。
 それに一度王様の服っていうの、着てみたかったんだよね。」
「そういうことじゃなくて!」
「そういうことだよ。
 ボクはたとえ世界の全てが君の敵になっても君を守るって決めてるから。
 だから君に生きてほしいんだ。」
「リョウ……。」
「君はさ、いつもみたいに高圧的に上から目線でボクに命令すればいいんだよ。
 『俺様の身代わりになれ!ヒャ―ハハハ!!』ってね。
 そんでもって反乱軍の奴らも見下すんだ。
 『テメェらが殺したのは俺様じゃねえんだよ。ざまあ見ろ!』って。
 だからさ、お願いだから逃げてよ。」
 そう言って懇願する姿に言い返すことは出来なかった。何よりバクラ自身、まだ生きることを諦められずにいるのだから。


 とうとう召使までもが逃げ出し、遂に城には王様だけが残った。
「まったく、アイツの尻拭いはいつもボクの役目なんだよな。
 まあ、ボクが言い出したことなんだけど。」
 鬨の声が段々近づいてくる。ここまで来るのは最早時間の問題であろう。
「もしも生まれ変われるなら、そのときはこの埋め合わせをしてもらうからね。」

―――-――――――――――――――――――――――――――――

なぁにこれぇ
とりあえず二人とも別人すぎワロタwww
本来、王様といえばATMですが、キャラじゃないので盗賊王の方に出張ってもらいました。
でも獏良の尻に敷かれてる感じだww

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