帝人への愛が高じて誕生日まで待てなかった。
肝心の帝人君出てないけど、帝人君誕生日おめでとう前日小噺です。
戦争コンビ以外にも闇家族、来良、ワゴンも考えてたけど、めげました。
とりあえず今言えることは深夜のテンションって恐ろしいねということです。
注意事項としては若干801臭があるかも知れません。
戦争サンドです。
ノーマルだと思ってみてるとあれ?ってなると思います。
それを踏まえたうえでどんと来いという方はつづきから。
折原臨也の考察
まあ、確かに俺はお金は持ってる。それこそ多少遊んでも不自由しないくらいは。
だから“欲しい”と言われれば大概の物は買ってやれる。
でもね、俺はそうじゃないと思うんだ。何がって?
誕生日プレゼントだよ?しかも好きな子の誕生日!
だったらさ、貰ったプレゼントの中でも一番嬉しいと思われるようなものあげたいじゃない?
じゃあ、彼が貰って一番嬉しいものは何か?そもそも彼は何を求めているのか?
言わずもがなそれは非日常だ。
そもそも“物”ならお金さえあれば誰でも用意できる。そんなものをあげたってつまらない。どうせなら俺しかできないことをしてあげたい。
なら俺が彼の為に用意すべきプレゼントは一つしかない。
「俺が君の為を思って創った非日常なんだから当然君は一番喜んでくれるよね?」
平和島静雄の動揺
「は?」
ポロリと咥えていたタバコが地面に落ちる。
「誕生日?明日が…か?」
サングラス越しでも分かるほど大きく眼を見開いた静雄を前に、セルティは無い首を傾げた。
セルティにしてみればただの世間話の流れで出てきた話題だ。静雄が食いつく意味が分からない。
『そうだが、それがどうかしたのか?』
「あー……いや…その、俺も何かやった方がいいのか?」
『?』
「いや、だから!誕生日なんだろ?その…だから!!誕生日プレゼントとかあんだろ!?」
あんだろと言われてもというのが今のセルティの正直な気持ちだ。そもそも静雄と彼はこの間の鍋で初めて顔を合わせて、しかもそれだけだ。とても誕生日にプレゼントを贈り合う仲であるようには思えない。いや一応顔見知りだからおかしくはないが――
「何贈りゃいいんだ?無難に現金10万くらいやっときゃいいか?」
少なくともこれは許されないだろう。というよりも許す許さない以前の問題である。
セルティは怒り半分辟易半分の感情でPDAに即座に文字を打ち込んだ。
『現金とか心が無さ過ぎる!!お前は誕生日を祝いたいのか祝いたくないのかどっちだ!!』
「あ?そりゃ祝いたいに決まってるだろ。
なんだ?駄目だったか?」
やはり静雄は分かっていなかった。
『あのなあ、静雄。それはいくらなんでも酷い。
いいか?プレゼントというものは相手の為を思って選ぶから貰う相手も嬉しいし、お互いの絆が深まるんだ。確かに下手なプレゼントを贈られて困ったりもするし、お金の方が使い買ってはあるが、そんなものは真に相手を思いやった贈り物とは言えない!たとえ世界がありだと言っても私は断じて認めない!!』
ありったけの思いを込めて叩いた文字は静雄に考えを改めさせるだけの効力はあったらしい。
だがしかし、それはそれで新たな問題を呼び起こした。
「でも俺、プレゼントとかあんま貰ったことねえから何やればいいのか……。」
しかしそれは先ほどの盛大な思い違いに比べれば些細なものであった。
『そうだなあ。現金とか言わないでちゃんと心の籠ったものならなんでも喜んでくれると思うぞ。』
「っつってもよぉ。
あ、そういやあいつパソコン好きだって言ってたな。よし、パソコンやろう。」
思わず頭を抱えたくなったセルティを責めることなど誰ができようか。
『静雄、あの子は礼儀正しいからそんな高価なものだと恐縮して受取ってくれない可能性がある。
もっと誰でも手軽に買えるようなものにした方がいい。
後は、そうだな…割と装飾性より機能性を重視するから実用的な物の方が喜ばれるかもしれないな。』
「実用的……ドアとかか?」
『……………帝人はそんなにしょっちゅうドアを壊さないよ。』
「じゃあ実用的なのって例えばどんなのだよ?」
『それは自分で考えろ。これはお前のプレゼントなんだから。』
多少突き放したような文面を突きつける。
それを読んだ彼は後頭部をガリガリ掻きながら確かになあと零した。もう少し食らいついてくると思っていたので若干力が抜ける。
「ありがとな、セルティ。俺考えが足りないからさ、また失敗するとこだった。」
そう言ってからりと笑う好青年にセルティは後に続けようとした叱咤の言葉を消した。しかし注意事項の念押しをすることは忘れない。まかり間違って自販機とかチョイスしたら目も当てられない。
「大丈夫だ。
それよりなあ、セルティ。俺思ったんだけどよ、プレゼント贈るって相手の事を考えないと駄目なんだな。俺今まで考えごとするとすげえイラついてたからしないようにしてたけど、でもあいつの為だったらなんかできる気がする。」