下の似非家族パロ続き。
実はあれだけで終わりじゃなかったんだ。
臨也さん視点です。
池袋、某公園にて。
「何アレ……」
その光景を見て折原臨也は盛大に顔を顰めた。
嫌なものを見てしまった。
頭に浮かぶのはその言葉だけである。
そんな彼の視線の先には、金髪でサングラスをかけ、バーテン服を着ている、池袋では知らぬ者などいない、通称自動喧嘩人形こと彼の天敵である平和島静雄がいた。
いつもなら顔を合わせれば即戦争になるのだが、今日はその気配はないし、臨也自身もそのことで声をあげたわけでなかった。
そもそも戦争など起こるはずがないのだ。何故なら喧嘩人形は今、公園のベンチに座り、顔を空に向けて反らした格好で安らかなる夢の世界へと旅立っていたのだから。
だがただ眠っているだけなら彼は臨也が池袋に来た瞬間に「臭ぇ」という理解不能な理由のもとに眼を覚ますだろう。
それがないのは静雄の膝の上にもう一つ別の存在が眠っているからに相違ない。
小さな少年は、腹の部分を静雄に抱えられて、顔を空に向けた状態――つまるところ静雄とまったく同じ姿勢だ――で涎を垂らしながら気持ちよさそうに昼寝と洒落こんでいる。
静雄が突如として一児の父となったという噂はすぐに臨也の耳にも入ってきた。
当然ながら臨也はその真偽、及び詳細を知るべくその事柄に関する情報を集めた。それは彼の弱みを握るためでもあったし、悪意を多分に含んだ純粋な興味故からでもあった。
化け物のあいつが好きになったのはどんな女なのか。
奥手を通り越してヘタレなあいつがどんな手練手管を使ったのか。
それ以前の問題で遊ばれたのでは?ざまあwww
そんな酔狂な女を一度見てみたい。
そもそも件の子供は永遠のチェリーボーイである奴の本当の子なのか?邪魔になった子どもを厄介払いに押しつけられただけということも……。
それはそれでその猛者が気になる。
以上のようなとりとめのないことを考えつつ、集めた情報を整理した結果、例の子供――帝人と静雄はしっかりばっちり血のつながった親子であるということが証明されてしまった。
あの遺伝子が受け継がれるとかどんな悪夢だと後に彼は腐れ縁の闇医者に漏らしたという。
それにしてもやはり気になるのは池袋最強の息子である。天敵の血をひいているのだから自分とは相いれないことは日を見るよりも明らかであるが、ひょっとするとうまくいけば彼の秘宝を掌中に収めることができるかもしれない。
ああ、そうなったらなんて面白いんだろう!
「まあ、なんにしてもやっぱり一見の価値はあるよねえ。」
楽しみだなぁ、楽しみだなぁ!
しかし、折角ワクワクとドキドキを携えて池袋までやってきたというのに、目的の少年は何とも幸せそうな顔で惰眠をむさぼっている。しかもよりにもよって父親の膝の上で!
これでは手玉に取るどころの話ではない。
「だけどそれにしても……。」
改めて臨也は親子の姿をマジマジと見つめる。
それにしても良く似ている。容姿のことではなく――顔立が似てる似てないなどこの年頃で分かるわけがない――呼吸が、である。おそらく二人で並んで布団で寝てたら寝返りも同じタイミングで同じような動きでするに違いない。
誰がどう見たって親子だ。
「割と頑張って情報集めたのに、馬鹿馬鹿しくなってきちゃうよ。」
興が覚めたし帰ろう。
そうして新宿の情報屋は池袋の雑踏へと消えた。
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でも個人的に帝人君は臨也よりだと思っているんで、シズちゃんに似てるというのはどうだろう?と起きてから思いました。
他にも一緒にお昼を食べるシーンとか、戦争に割って入るシーンなんかも見たんですけど、あまり覚えていない上にうまく文字化もできない気がするので誰かが書いてくれるのをすっごい期待して待つことにします。
え?頭が湧いてる?知ってます。