ひたすらバトル
まっ先に飛び出したのは切り込み隊長である菊である。狙うは金髪極太眉毛のアーサー。てっとり早く頭を潰すことで勝負を決めようという魂胆だが、そんなことは向こうもお見通しである。
ガギィン
すかさず二人の間にフランシスが割って入り、菊の剣を受け止める。
キチキチと重なり合った刃が鳴く。
「酷いな菊ちゃん。こんないい男ほっといてあいつのところに行くなんて。」
余裕を装ったフランシスが軽口をたたく。が、その額には汗が滲んでいる。フランシスの持つレイピアは菊の得物の刀と比べると切ることに関しては殺傷能力が桁違いなのだ。
「おや、心外ですね。私はフランシスさんを気遣っていましたのに。」
菊の方でもそれに応じるが彼も刀を持つ手が震えていた。こっちもこっちで体格のいいフランシスの力押しを華奢な菊が受けるのは分が悪いのである。
互いに拮抗した力関係。だがそれは唐突に破られた。
「燃え上がれ!」
「!!」
声に素早く反応して菊が大きく跳び退る。刹那、目の前を強大な火球が過り、菊の前髪を焦がす。
「甘い!」
だが、完全に避けたと思った火球は軌道を変え、再び菊に迫る。そしてその火球を追う形でフランシスも走り出す。真正面から迫る火球を先ほどと同じように後ろに跳んでかわすことはできない。だが横に避ければバランスを崩したところをフランシスに狙われる。
万事休す。
しかし、菊は臆せずに火球に向かって行った。あの業火を浴びれば刹那のうちに彼を灰へと変えるだろう。
だが、その肝心の火球は菊の目の前で消失した。先ほどまで無かった札が怪しげな光を発しながら彼の周りを回っている。
「何!?」
予期せぬ展開に敵側は怯んだ。その隙を逃さず菊は刀を振るう。咄嗟にレイピアを構えるが、スピードの乗った菊の剣戟は細身の刀身を容赦なくへし折った。
「嘘だろ……。」
「終わりです。」
「下がれ!クソひげ!!」
バチィ
菊の眼前で閃光が弾ける。
「っ!」
思わず身を竦めた隙をついてアーサーはフランシスの腕を引き、位置を入れ替える。
アーサーが放ったのは本来なら光速で相手に迫り、感電させる雷の魔法だが、それも相手に届く前に弾けて消えてしまった。だが態勢を立て直すだけの時間は稼げた。
「さあ、ここからは俺が相手してやるぜ。」
そう言い放ってアーサーは腰からサーベルを抜き放った。
アルフレッドはアーサーの魔法が無効化された時点で、即座に状況を判断し、銃口を彼――ヨンスに向けていた。
「アイイィィ!!」
ガッ
だが、今にも火を噴くかと思われた短銃は、一瞬にしてアルフレッドの手から消えた。次いで米神に衝撃。そして気がつけばアルフレッドは地面に引っ繰り返っていた。
「我がいることも忘れんじゃねーアル。」
勝ち誇った顔で見下す耀がアルフレッドの視界に入る。
「ああ、ごめん。すっかり忘れてたよ、と!」
パァン
「っ痛…」
「兄貴!!」
殆ど予備動作を見せずにアルフレッドは腹筋の力で起き上がり、腰から一丁、銃を抜いて間髪入れずに耀に向けて撃った。狙いは違わなかったが、無理な姿勢が祟り、弾丸は耀の頬を掠っただけであった。
「やってくれるアルな。」
「大したことじゃないよ。君が年になっただけじゃないのかい?」
ピキリと耀の米神に青筋が浮かぶ。
「若造が言ってくれる。後で泣きべそかいても許してやらねーアルよ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
何か変な方向に走りだしたのでここいらでやめときます。ホントはもっと皆かっこよくするはずだったのに、おっかしーなあ。
ヨンスももっと出番はあったはずなのに名前しかないとか…。
因みに、各キャラの特性を説明しますと
中国
遠近両立型の中衛キャラ。
近距離のときは中国拳法で、遠距離のときは気功波で攻撃。
自分だけなら龍脈の力で回復も可。
日本
近距離戦専門の前衛武士。
力はやや劣るがスピードや技術面でカバーする。
また、刀の他にも改造武器をいくつか使用。
韓国
補助系の後衛符術師。
魔法や妖術といったものの類を悉く無効化できる符術を使える。
また、自身にのみ自動防御術が掛っており、魔法だけでなく物理攻撃もある程度防ぐことができる。
イギリス
遠近両立型の中衛魔法剣士。
近距離時はサーベルで、遠距離時は魔法で戦う。
召喚術も使用可能。
アメリカ
遠距離射撃を得意とする後衛ガンマン。
後衛であるにも関わらず、前衛でも通じる体力を持っている。
フランス
前衛剣士。
レイピアで戦うのを得手としているが、撃たれ弱い。
アジアのかっこよさを出したかったためのネタだったので欧州組がかなり投げやり。
特にフランス兄ちゃんの扱いは酷すぎる。
あー、しかしもっとかっこいいバトルが書けるようになりたい。