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北斗の拳再熱につき、ヘタリアを世紀末にしてみた。
 




 199X年、世界は核の炎に包まれた。

 海は枯れ、地は裂け、あらゆる生命体はは絶滅したかのように見えた。
 しかし、人類は死に絶えてはいなかった。


 荒野を一人の男が歩いている。
 がっしりとした、今の時代恵まれているといえる体つきではあるが、金色の髪は大分痛んでおり、海を思わせる青い瞳はどこか虚ろを見ているように焦点が合っていなかった。
 だがその目があるものを捕らえ、彼は一気に走り出す。
 村だった。
 だがその村に入る直前で男は押しとどめられる。
「何なんだぜ?お前、食料泥棒か?」
「頼む……水をくれ……」
「水泥棒のほうなんだぜ?」
「一杯だけでいい……たの…む……」
 そして、男の意識は途切れた。

 男が目を覚ましたのは薄暗い牢の中であった。
 重い体を叱咤して起き上がり、あたりを見回す。目の前には頑丈そうな鉄格子。後ろは石壁で、上のほうに明り取り用の小さな窓が備え付けられている。
「ヴェー」
 ふと自分以外の声――といってもため息のような鳴き声のような何とも言えないものであったが――を聞きそちらに振り替えると、隅の方に自分よりも幾分か小柄な青年が項垂れて座っていた。
「お腹空いたよ~。パスタが食べたいよ~。」
 何とも贅沢な悩みである。こちとらいっぱいの水でこのような目に逢っているのにと考えると少々腹立たしくなってくる。
 と、その時、牢の外からこちらに向かってくる小さな足音を男は聞きつけ、今度はそちらに目をやってみる。
 現れたのは自分と同じ牢に入っているあの青年よりもさらに小柄な少年であった。彼の手には水の入ったコップがあり、それを格子の隙間から男の目の前に置こうと手を伸ばす。
「ヴェーーーーー!!!」
 だが、ちょうどその時、同じく少年の姿を確認した青年がものすごい勢いで少年に突撃していった。少年と青年の間には鉄格子があるために、何ら危害らしい危害は少年には与えられていなかったが、格子の隙間から伸びた腕が青年によって掴まれてしまっていた。
「ヴェー!!お願い、命だけは助けて!!
 痛いのいやだ!
 あと、パスタとトマトとパスタが食べたい!!
 俺ね、俺の従兄弟がオオサカに住んでるんだよ!だからお願い、殺さないでーーーーー!!!」
 何とも支離滅裂な命乞いである。だが必死な感は実によく伝わってきた。意地も見栄もプライドさえもかなぐり捨てたそれはいっそ清々しいくらいである。
 しかし、ただ牢番を勤めるように言われただけの少年に、決定権があるわけはなく、死に物狂いでしがみつかれている腕の痛みに顔をただただ歪めるだけである。
 見かねた男が青年の腕にその手を伸ばし、制止をかける。
「おい、お前。いい加減にしろ。困ってるじゃないか。」
 声と同時に男の手が青年の腕をつかむ。その刹那――
「ヴェーーーーーーーーーーー!!!!!!
 痛い痛い!!!死んじゃうよーーー!!」
 青年は掴まれた腕を抱えて文字通り転がりながら悶え苦しんだ。男の方としてはそんなに力を入れたつもりはないので、ただただ唖然とするばかりである。
「おい、すまん。大丈夫か?」
「ヴェーーー!!酷いよ~!」
 あまりにも大げさな痛がりように心配して声をかけても気付いた様子はない。
 途方に暮れる男は、その服の裾をちょんちょんと引かれているのに気付いてそちらに顔を向ける。正体は先ほどの少年であった。少年は男が自分に気付いたのを確認すると、牢の中を指差した。その先には少年が持ってきてくれたコップ。当然ながら中身はこぼれてなくなっている。
「あ、ああ。せっかく持ってきてくれたのにすまんな。
 できればもう一杯もらえないだろうか?」
 男はコップを拾い上げると少年に渡した。少年は小さく頷くと踵を返して駆けだした。
「お前もいい加減にしろ!」
 ついに頭に来た男は、あまりにも煩く喚く青年の頭にこぶしをひとつ落とす。
「ヴェ!」
 妙な鳴き声を上げて再び喚きかけた青年だったが、男が力いっぱい彼を睨みつけていることに気付き、あわてて押し黙った。
 だが、その口の中で酷いよと呟いた。
「お前が騒いだところでどうしようもないだろう。」
「だって縛り首だよ!?俺そんなの嫌だ。」
「だからといってあの子を困らせるのはやめろ。あいつには何の決定権もない。」
 やるだけ無駄だと言外にいい含めてやると、青年はうん、と頷いて押し黙った。

 数分もしたころだろうか、コツコツと小さい足音とともに少年が再び姿を現した。だが、その手には最初にはなかった食べ物が乗った盆が存在している。
「わあー!トマトだー!!キク、ありがとー!」
「キク?」
「この子の名前だよ。あ、ちなみに俺はフェリシアーノっていうんだ。」
「そうか、俺はルードヴィッヒだ。」
「じゃあ、ルートだね!」
 わいわいと賑やかに騒ぐフェリシアーノ。それを牢の外から一歩離れたところから穏やかに菊は眺める。
「ありがとう。生き返るようだ。
 だが、こんなにたくさんの食べ物、大丈夫なのか?」
 大はしゃぎでトマトを頬張るフェリシアーノとは対照的に落ち着いてジャガイモ料理を口に運ぶルードヴィッヒは菊を心配そうに見やった。
 それに対し菊は何かを言おうと口を開くが、すぐに悲しげに眼を伏せ、黙り込んでしまった。
「駄目だよ、ルート。キクはね、喋れないんだ。」
「喋れない?」
「小さい頃、両親を目の前で夜盗に殺されちゃって、それ以来声が出なくなっちゃったんだよ。
 酷いけど、この時代なら仕方ないのかもね……。」
 最後にヴェーと一声鳴いてあれだけ喧しかったフェリシアーノも口を噤んでしまった。
 ルードヴィッヒはじっと菊を見つめると一言、辛いか?と尋ねた。尋ねられた菊はしかし、強い瞳をもって彼の視線を受け止め、かぶりを振ってはっきりと否定の意を示した。
 この少年の幼い目は、多くの地獄を見てきただろうに、それに彼は絶望していないのだ。
 ルードヴィッヒは一旦食事を中断させると格子の隙間から両手を菊の方へと伸ばしていった。少年は一瞬だけ息をのみ、身を固くさせたが、ルードヴィッヒの大丈夫という言葉を信じ、彼に身を委ねた。
 ルードヴィッヒは菊の首の裏側あたりを探るように触っていたが、やがてある一点で力を込めた。
「これでいい。」
「ヴェ?今何したの?」
「喋れるような、まあ、まじないみたいなものだ。」
「へー、良かったね、菊!」
 だが、喋れるようになったというのに当の本人は押された首筋を摩るばかりで一向にその兆しは表れなかった。菊自身も当惑気味である。
「菊?」
「今すぐは無理だ。後は本人の心の問題だ。」
「心?」
「ああ、心の叫びが言葉を誘う。」
「う~ん、よくわからないけど、早く喋れるようになれるといいね!」


――――――――――――――――――――――――――――


とりあえずここまでが限界。
本当はジードまでやりたかったけど、無理だった。

蛇足ですがこの後の流れ

・不憫襲来(どちらかは想像にお任せ)

・菊が人質にとられる。

・「ルードヴィッヒさん!来てはいけません!!」

・菊覚醒(え?)

 菊は自分をはがいじめにしている男の腕に齧りつき、怯んだその隙にするりとそこから抜け出した。そして近くにいた盗賊の一人から剣を拝借すると、抜き取った勢いのまま、また別の一人を切りつける。


まあ、こんな感じで祖国が賊どもをばったばったと切り倒していくのです。
かっこいい祖国大好きです。
ルートの胸には北斗七星なんかありません。
後、当然のように三人の中では菊が最年長です。
あれ?なんかおかしくね?
だがそんなことは気にしない!!

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